3月25日(火)
マスコミは時にとんでもない医学情報を平気で流すので困ったことだと思っています。
『サンデー毎日』の3月23日号の中に、
「薬を使わない(血抜き)究極治療でアトピーがきれいになおった!」という記事がありました。
読んでびっくり。
まず薬の説明からおかしな部分を述べてみましょう。
「非ステロイド系の軟膏でも長い間使えば、皮膚は赤くなったり黒くなったりすることがあります」と述べています。これは文面から保湿剤のことを言っていると思われるのですが、もし本当ならば化粧品のほとんどがそれに該当することになってしまいます。実は、コラーゲンやヒアルロン酸の入っている化粧品は保湿が大きな目的なのです。
ましてや、医薬品での保湿剤の安全性はほぼ確立されています。保湿剤で赤くなったり、黒くなったりはしません。
「ステロイド系の軟膏はむくみが出やすいし、長く服用した後に止めるとリバウンドして、皮膚からリンパ液が出てくるケースもあります」
まず前半部分。これはステロイドの内服の場合を言っているのです。服用とは「薬をのむこと」(広辞苑)です。内服の場合にはリバウンドがありますが、ステロイド軟膏外用の場合にはリバウンドは原則としてありません。また皮膚科医はそうした副作用のない使い方をしています。
後半のリンパ液が出るとは尋常ではありませんね。おそらく掻いてジュクジュクした状態を言っているのでしょうか。
治療について、
@ 薬を使わない
A 肉や魚を食べ過ぎない
B お風呂で体をこする
C 我慢しないで掻く(血が出るまで)
と書いてありました。こんなばかばかしい治療法があるのでしょうか!
お風呂で体を擦ったら、アトピー性皮膚炎のバリアはますます壊れてしまいます
(2月26日を参照してください)。
アトピー性皮膚炎の場合、掻くことは“厳禁”なのです。
コーチングでお話した(2月22日)加藤則人先生はアトピー性皮膚炎の研究者でも有名ですが、「掻くことにより血小板が活性化するとアトピー性皮膚炎ますます悪化する」という外国論文を書いています。だから患者さんには、「血が出るまで掻かないように」と指導しています。
記事では「どんどんかいてほしい。かいて血が出れば、毒素も排出されるからです」とダメ押しの一撃。昔、蛭という環形動物を皮膚につけて血を吸ってもらう治療法を連想しました。残念ながらそのエビデンス(証拠)はありません。
現在の医学では、EBM(evidence based medicine)に基づいた治療が求められています。つまりしっかりと説明のできる「証拠や根拠」に準拠した治療が大切なのです。
「血の汚れは万病のもと」と断言していますが、ではその“汚れ”とは一体なにか具体的に説明して欲しいものです。
医学論文を投稿すると必ず多くの専門家からチェックを受けます。特に外国の有名な雑誌ではなかなか受理されません。つまりチェック機能がしっかりしているのです。
今回の記事ではそういったチェックはあったのでしょうか?
こうした一方的なマスコミの暴走をおそれながらこれを書いています。
本当に困ったことです。