3月5日(木)
皮膚科が学校保健に関与するなんて何故というご意見、誠にもっともなことです。しかし、疾病の変遷は皮膚科にも学校保健の必要性を問うようになってきました。その中でアトピー性皮膚炎は代表的です。そしてアトピー性皮膚炎は、最近増加しています。
私たちの子供の頃、アトピー性皮膚炎という言葉もありませんでした。またアレルギー性鼻炎も然りです。スギ鉄砲で遊んでいたのですから・・・・・・。
アタマジラミの多発を知って、学校保健に関する意見を皮膚科雑誌に書きました。
最近アタマジラミは増えていませんか?
−学校保健活動の重要性を踏まえて−
今年に入ってやたらにアタマジラミの患者さんが多いと思っていたら、毎月集まっている高崎皮膚科医会でもその話題が持ち上がった。患者さんが多いことも事実だが、一部の学校関係者にあまり関心が無いことも困るとのご意見。その翌日群馬県教育委員会事務局にその旨を電話したところ、群馬県教育委員会教育長宛に連絡してくださいというご返事があった。早速、アタマジラミの多発が報告されているので善処して欲しいとの手紙とともに、アタマジラミの簡単な資料を合わせてお送りした。
1週間後、群馬県医師会からこうした要望は群馬県医師会を通して行って欲しいとの連絡があった。恥ずかしいことに、学校保健連絡網に関する私の未熟さを知った次第である。ただしこれは各都道府県で異なるのかもしれない。その後、アタマジラミは学校ばかりでなく、幼稚園や保育所でも患者さんが多いので、群馬県医師会にその点も含めて対処して欲しいと再度要望した。おそらく今後適切な対応がなされるであろう。もちろんその際、皮膚科が専門性を発揮しなければならない。
皮膚科の危機が叫ばれて久しいが、その打開策の一つとして、多くの皮膚科医は“美容皮膚科”になだれ込んだように思われる。その行為はまちがいではないと思うが、形成外科も含めて最近やたらに美容関係の医療施設が増えている。田舎の高崎市でも美容医療施設が林立し、もはや皮膚科医の片手間では対応できなくなっているのが現状である。
そんななか、皮膚科においても「学校保健」が、特殊な分野にとどまることなく必要なばかりか、きわめて重要な皮膚科活動の場であることを今回の事例であらためて確認できた。アタマジラミばかりではなく、その他の皮膚の学校伝染病、アトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患、紫外線の問題、おしゃれ障害、皮膚の救急など、学校保健において皮膚科的に指導・解決しなければならない問題が山積している。こうした背景から、学校専門校医(相談医)制度が文部科学省管轄で進められ、皮膚科をはじめとして、精神科、整形外科、そして婦人科の4科体制で現在検討中である。
日本臨床皮膚科医会では、その活動をサポートするために、皮膚科における正しい、そして簡便な情報発信を試みている。現在、「アトピー性皮膚炎−学校生活における管理と指導」、「紫外線と皮膚」、「おしゃれ障害―きれいになりたいから始まる健康障害」などの教材をパワーポイントで作成して全国の日臨皮学校保健担当医に配布してきた。学校専門校医としての講演などで必要と考えられるからである。必要な先生方はぜひご利用いただきたい。今後夏までに、「紫外線と皮膚−学校生活における指導」、「皮膚の学校伝染病」、そして「皮膚の救急」をさらに追加して配布予定である。日本医師会学校保健委員会では、この作業に助成金を与えてくださるという。喜ばしいことである。
学校専門校医(相談医)制度への参画状況は 現在、34都道府県(72%、平成19年3月現在)に及んでいる。善戦はしているものの、4科の中ではもっとも参画が少ない。これが皮膚科の現状である。
皮膚科の今後を考える場合、美容皮膚科への参入ももちろん大切だが、もっと身近な、それでいながらあまり注目されていない「学校保健」、あるいは「在宅医療」にももっと目を向けるべきではなかろうか。そうした地道な活動が患者さんや他科に皮膚科医を認知させるよい機会になると信じている。
ところで最近、アタマジラミは多発していませんか?
(皮膚病診療 29:629,2007)
今や皮膚科も真剣に学校保健を考え始めています。まだまだその活動は端緒についたばかりですが、日本臨床皮膚科医会では1984年から学校保健委員会が立ち上げ、全国に学校保健担当医を任命し、全国規模で学校保健の多くの問題に対応しています。皮膚科医は、決して専門領域だけで埋没しているわけではありません。私は日本臨床皮膚科医会の常任理事を拝命し、現在学校保健委員会担当理事、また日本医師会の学校保健委員です。 今後の皮膚科の学校保健に関する活動をぜひ注目していただきたいと思います。またご質問等がありましたら日本臨床皮膚科医会(jocd@ace.ocn.ne.jp)にご連絡ください。