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皮膚科と「靴」
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「足と靴のプロセミナー」というものに参加してきました。
浅草にある靴屋さんが開催するセミナーで、「靴学」とは何ぞや、ということで学んできました。
講義あり、実習ありで丸々2日間、非常に濃密な時間を過ごしてきました。
当院ではフットケアを専門の一つにしていることもあり、よく足の皮膚病変のご相談を受けます。
「陥入爪(かんにゅうそう)」「爪の変形」「うおのめ・たこ」といった疾患は代表的な疾患です。
これらの疾患の難しいところは、治療だけで解決しないということです。
再発や悪化を防ぐには、日常生活から、「外的刺激を除去」する対策が必要になります。
例えば、いつもきつい靴を履いていて、足の外側の骨が出っ張った部分が靴に当たり続けると、その部分の皮膚が厚く、硬くなります。
これが「うおのめ・たこ」です。
治療として、硬い部分を削り取れば一旦トラブルはなくなりますが、同じ生活を続けていてはまた再発してしまいます。
根本的な解決を目指すなら、そもそも足のその部分がぶつからないような環境を作らなければなりません。
この環境作りが、「外的刺激の除去」ということです。
二本足で生活する私たち人間の足は、日頃から体重を一番下で支えていて、何気ない生活の中に、結構「外的刺激」が潜んでいます。
「靴」は足を直接覆うものですから、「外的刺激」への対策を考える上で、「靴」がいかに重要かが想像できますね。
2017年2月のブログでも「靴の選び方」について説明しましたが、合う「靴」を見つけるというのは案外奥の深いお話です。
機能障害を伴うような疾患では「装具」という形で、医療の一環として靴を扱うことがあります。
一方、皮膚科で見るようなありふれた疾患への対策では、「靴」を何とかする手段というのは今のところ少ないのが現状なのです。
今回のセミナーは、整形靴の本場ドイツと連携して、靴作りだけでなくフットケア(フスフレーゲ)や爪矯正などにも関わる施設で開催されたもので、靴作りの現場も垣間見れました。
参加したメンバーは、靴屋さん、靴職人さん、ネイリストさんなど多職種でしたが、医療施設との関わりは少ないようです。
日常の靴選びを工夫していくためには、それぞれの職種が直接関わり、知識や方法を共有し合う環境を作る必要があると感じました。
これまでのところ「皮膚科」と「靴」の関係はそれほど直接的ではありませんが、今後多少なりとも、皮膚科医の立場で、「合う靴を作る、見つける」といった過程に関わっていければと感じた2日間でした。
追伸
ハルヒルご報告!
絶好のヒルクライム日和で、自己ベスト更新できました!
1年間の成長を感じて、よりディープに走りこもうと思いました。
が!体がついてきません。
翌日からヒルクライムをする気力がわかず、しばらくはテレビ観戦で英気を養うことにしました。
(そしたら早速、フルームと井上尚弥にシビれました!井上尚弥は自転車と関係ないですね。)