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タイジョーホーシン(帯状疱疹)あれこれ
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昨年の4月のブログで「タイジョーホーシン」、正確に言うと「帯状疱疹」を取り上げました。
その後当院の「帯状疱疹」の動向を解析しています。
前回のブログの中で、「年度末の3月にタイジョーホーシンが多い気がする」、という印象を書きましたが、果たして結果は、、、
下のグラフが当院の13年間(2002年〜2014年)の帯状疱疹患者数の季節変動です!
「全体」の折れ線グラフを見ると、1番多いのは6月〜8月の夏場、その前にも3月中心に春にもやや多いです。
12月に非常に少ないのも特徴的です。
女性(棒グラフの白)だけで見ると3月が一番多いくらいですから、私の印象は間違ってなかったということですね。
こういった統計はこれまで日本でもいくつか行われていて、特に宮崎県で大規模な調査が続けられています。
宮崎県のデータも含めて、季節変動については、夏に多くて、冬に少ない、という傾向がほとんどで、当院でもそれが証明されました。
ところで、同じウイルス(VZV)によって引き起こされる「水痘」いわゆる「ミズボウソウ」は、逆に、夏に少なく、冬に多い傾向があります。
(ミズボウソウとタイジョーホーシンの関係については、2015年4月のブログもご覧ください。)
「ミズボウソウ」が夏に少ないのは、夏は紫外線が強く、温度が高いことから感染性が低下するためと言われています。
一方、「ミズボウソウ」の患者さんと接すると、周りの人はウイルスに対する免疫力が高まります(ブースター効果と言います)。
この免疫は「タイジョーホーシン」を抑えることもできます。
なので、「ミズボウソウ」が流行すると、「タイジョーホーシン」が減る、つまり両者の流行は鏡のように真逆の関係になります。
ご存知の方も多いと思いますが、2014年10月より、「ミズボウソウ」のワクチンが定期接種に加わりました。
これにより「ミズボウソウ」になる子供が少なくなることが予想されますし、実際昨年2015年は群馬県や高崎市で「ミズボウソウ」患者数は減少しました。
すると逆に、今後タイジョーホーシン患者が増加してくることも予想されます(実際、当院でも増えてきています)。
海外ではタイジョーホーシンの予防として、大人に「ミズボウソウ」ワクチンを接種している国も多くあります。
「ミズボウソウ」ワクチンは日本人が開発して、世界に広がったものです。
今後日本でも、そのワクチンを大人にもした方が良いのか、しっかり検討していく必要があるでしょう。
いずれにしても「タイジョーホーシン」になってしまったら、早期の治療が大切、心配な時は是非皮膚科にご相談ください。
追伸
帯状疱疹の解析も大分進んだので、来月初めに学会で発表してきます。
6/4の土曜日は私は不在になりますが、どうぞご了承ください。
日が長くなって、近所の井野川の夕焼けを楽しめる季節になりました。
井野川の脇にはサイクリングロードが整備されていて、気持ち良くサイクリングできます。
私も昨日久しぶりに走ってきました!
どこまで行けるんだろうとひたすら川沿いを走っていたら、急にボコボコの地面になり、最後は畑に突入し、終了しました。
「この先通り抜けできません」の看板は本当でした。信じなくてスイマセン。