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こどもの紫外線対策
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そろそろ夏も終盤。今年は早くも台風がいくつも訪れ、天気がバラついていますが、まだまだ暑い日もあります。
そこで、今回は紫外線対策について。(本来は、こんな夏の終わりにではなく、もっと早い季節にお話しすべきことですが、、、)
そもそも紫外線対策はなぜ必要なのでしょうか?
日本では、シミやシワなどいわゆる光老化を予防するため、というイメージはある程度浸透しているかもしれません。
それだけでなく、長年浴び続けた紫外線の蓄積が、「皮膚がん」の発症に関わることはご存知でしょうか?
長寿国日本では、皮膚がんが増加しています。(もともと皮膚がんの多かったオーストラリアでは、1980年代から行政が中心になって紫外線対策を行っています。)
他にも、日焼け、体力低下、免疫抑制、白内障など引き起こし、紫外線は短〜長時間の中で、健康にさまざまな悪影響を及ぼすものと考えられ、紫外線対策は、健康に過ごすためにとても重要です。
かつては「日焼けは健康のシンボル」、みたいに考えられていたことを考えると、イメージが変わりましたね。
紫外線対策について、日本臨床皮膚科医会と日本小児皮膚科学会の統一見解として、「学校生活における紫外線対策に関する具体的指針」というものが示されていますので、この内容をご紹介します。
学校生活を想定して挙げられた対策ですが、もちろん日常生活でも参考になりますし、こどもに限らず、大人にも役立ちます。
特に屋外活動では、①時間、②場所、③服、④サンスクリーン剤の4点を意識して対策しましょう。
① 紫外線の強い時間は、10時から14時の日中です。早朝や夕方は弱いので、このような時間に活動しましょう。
季節としては4月〜9月に強いです。
② 日陰の紫外線量は日向の約半分!テントなどで日陰を作ることは重要です。
一方、曇りでも、晴天の80%以上の紫外線が出ているので、紫外線対策はしないといけません。
③ 帽子は、つばが7cm以上あれば60%ほど紫外線をカットできます。
当然、体を覆う部分が多い服の方がよいですね。白か淡い色で、編み目がしっかりした綿(またはポリエステル・綿の混紡素材)のものが勧められています。
④ 学校生活では、SPF 15以上のサンスクリーン剤で十分、ただし、たっぷり均一に塗ること、2-3時間ごとに重ね塗りすることが大事です。
学校生活に適したサンスクリーン剤として、1)SPF 15以上、PA ++〜+++、2)無香料、無着色、3)プールでは耐水性、ウオータープルーフ表示のもの、が推奨されます。
プールでは肌を露出し、紫外線の影響を受けやすいので、特に注意が必要で、上記4つを満たすようにしたいですし、泳ぐ時にラッシュガードを着用したりすることも有用です。
実際のところ、まだ学校によっては、ラッシュガードを使用するためには診断書が必要だとか、サンスクリーン剤の使用が禁止されている、などといったこともあるようです。
学校生活、日常生活いずれにおいても、正しい知識を共有し、紫外線対策を当たり前に行えるような環境になるとよいのですが、、、
「こどもでも日焼け止めを使った方がよいでしょうか?」という質問を時に受けます。
もちろん日焼け止めを上手に使って、紫外線対策をしていただくことは重要ですが、あくまで日焼け止め(サンスクリーン剤)は手段のひとつです。
紫外線対策=日焼け止め、ということでなく、上記に示したような、さまざなま対策を意識した方が効率的です。
すでに日焼けやプール活動により肌が荒れていると、サンスクリーン剤がしみたりして使いにくいこともあるかもしれません。
もちろん中には体質として、ある種のサンスクリーン剤が合わないという方もいます。
何かトラブルを経験された方は、苦手意識を持つ前に、一度皮膚科でご相談いただくとよいかと思います。
しっかり紫外線対策して、残りの夏を楽しんで、来年以降の対策にも生かしていきましょう!
追伸
私自身、皮膚科医になって紫外線の脅威を実感するにつけ、それまで無頓着でしたが紫外線対策するようになりました。
そして、忙しかったり、花粉症がひどくなったりもあり、10年以上すっかりインドア派。
だけど今年はサイクリングを解禁。
青空って気持ちイイ〜!
平地をひたすら走るか、ヒルクライムもしてしまうか、どっち付かずに悩む日々です。
そんなことはどうでもよい話ですが、乗るたびに紫外線対策が増えていき、頭から足の先まで覆えるようになりました!
まあちょっと、自転車に乗ってないとアヤしい感じですが(−_−;)