皮膚はからだの中で一番大きな臓器です。そして内臓と密接に関連しています。
また、内臓障害と皮膚病変の関係を「デルマドローム」といいます。
膠原病はその代表的な疾患の一つで、原因不明の発熱、関節の痛みや腫れ、
筋肉痛、血沈の促進などの共通した特徴を持つ一連の病気をいいます。
その際、見落としてはならない大切なことは、多くの場合「皮膚病変」を
伴うことなのです。
具体的には、全身性エリテマトーデス、強皮症、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、
結節性動脈周囲炎、混合性結合組織病、慢性関節リウマチなどの疾患が挙げられます。
これらは、すべての臓器に共通して存在する結合組織や血管などの異常が確認されて
います。
以前、結合組織のなかの膠原線維の変化に注目した学者が、「膠原病」という
名称をつけました。現在では、それらの変化は膠原線維に限らず、結合組織全体
に及ぶことが分かってきましたので、「結合組織病」とも呼んでいます。さらに、
いずれの疾患も多彩な免疫異常現象を伴い、特に自己に対する抗体(自己抗体)の
産生がその病因に重要であることから、「自己免疫疾患」ともいえます。
具体的に、一部の膠原病を皮膚科的に説明してみましょう。
まず全身性エリテマトーデスでは、顔面の両頬にできる、ちょうど蝶が羽根を
ひろげた形をした紅斑「蝶形紅斑」が有名です。この蝶形紅斑を見ただけで、
病気が診断できることも多いのです。(皮膚科はこのように、検査をしなくとも
見るだけで<視診>、診断可能な特殊な臨床科目なのです)
その他、手指の特有な紅斑、日光過敏症、脱毛、寒さにあたると指先が
蒼白になるレイノー現象など多彩な皮膚病変を生じてきます。それに伴って、内臓
の腎臓障害なども合わせて起きてくる難病です。
全身性強皮症も皮膚科でよく扱う疾患です。レイノー現象とともに、手指から
皮膚が硬くなる病気です。この病気の初期病変は、皮膚科でしか判断できないことが
多いのです。私はかつて、この病気の免疫異常を研究していました。