リハビリメイクについて
かづきれいこ氏が提唱した新しいメイク法である。平成12年度日本臨床皮膚科医学会3支部合同学術集会(東京,
コクヨホ−ル)で、杉浦 丹先生(清水市立病院皮膚科部長)からはじめて紹介された。そのとき、アザや膠原病患者、今後は高齢者に有益なメイクとなることを具体的に知った。
最近“かづきれいこ”というブランド(?)でマスコミを賑わしているので、知っている方も多いはずである。マスコミが伴うとどうしてもある種の偏見がつきまとうように思われる。
先日、かづきれいこ氏から『リハビリメイク 生きるための技』(岩波アクティブ新書)1)が送られてきて、まもなく偶然に彼女と対談する機会があった。
彼女は、“メイクと医療をつなぐことで新しいケアの可能性の広がる”ことを一生懸命話してくれた。具体的には、形成外科、皮膚科、ことに精神科がその対象になるという。精神的に様々なコンプレックスを持った患者さんには、形成外科的処置よりもリハビリメイクの方がより優位性が認められることが多いと話してくれた。精神的な解決が無ければ、美容外科では解決されない様々な問題が残されるというのだ。丁度アトピ−性皮膚炎における“掻破行動”に共通することかもしれない。
正しい医療のもとでのリハビリメイクは、患者に大きな夢と希望を与えてくれるらしい。そのためのボランティア活動に、彼女自身多くの時間を割いていることをはじめて知った。マスコミでしか知らずに多少偏見を持っていた私には、新しく、とても嬉しい発見であった。彼女は、実際に私の職員にメイクを実践してくれたが、その効果は絶大だった。
今後はEBMに基づいた“リハビリメイク”の有用性の検討が求められるだろう。そのためには、皮膚科専門医のいろいろな面からのサポ−トが必要だと思われる。欧米では、隠すための“カモフラ−ジュ・メイク”は存在するが、彼女の試みは独自で、有益なメイク法である。
できるならば彼女の活動をあたたかく見守って、可能ならば協力していただきたいと思っている。
文献
1)かづきれいこ: リハビリメイク 生きるための技,岩波アクティブ新書,岩波書店,東京,2002.7
(服部
瑛 高崎市)