日光と皮膚の老化について


今回は日光、その中でも紫外線と皮膚の老化についてお話しましょう。
以前は、日光浴は健康のためにとても良いことだと言われていました。確かに、日光は
全身的には、血液の循環を良くし、新陳代謝を盛んにするなどの効果があります。しかし、
最近の研究では、皮膚に対してはむしろ有害であることが明らかになってきました。


Q:紫外線といってもいろいろな種類があると聞いていますが?

波長の種類によって3種類の紫外線があります。波長の長い方からA,B,C
と分けられています。一番波長の長い長波長紫外線(UVA・・ウルトラ・ヴ
ァイオレット・レイ・Aという意味)、中波長紫外線(UVB)そして、短波
長紫外線(UVC)の3種類です。A紫外線は、波長が長いため皮膚の深いと
ころまで浸透します。B紫外線は肌を赤くし、次いで肌を黒くする光線で、い
わゆる「日焼け」の作用があります。一番波長の短いC紫外線上は、生物に有
害ですが、地球をとりまくオゾン層で吸収され、幸いふつう地球まで到達しま
せん。最近、皆さんも御存知のように、フロンガスによってオゾン層の破壊が
観測されており、その結果、地表に到達する紫外線の量が増加していることが
報告されています。

Q:紫外線が皮膚の老化に関係していると聞いたことがありますが、本当
ですか?

そのとおり、A,B紫外線は皮膚に浸透し、皮膚の成分にいろいろな作用を及
ぼします。例えば、海水浴などで沢山の紫外線を浴びると、赤くなったり、水
ぶくれになったりするのは良く知っていると思います。こうした急性の反応ば
かりでなく、長い時間あるいは長期間日光を浴びていると、いわゆるシワや
シミの原因になります。これを「光老化」といい、最近注目されています。最
も日光のあたらない腋の部分の皮膚を見て下さい。恐らく大部分の人は、肌の
色も白く、みずみずしいはずです。それに比べて、いつも日光にあたっている
顔や手背の皮膚は黒っぽく、シワやシミがあるのに気付かれるでしょう。

Q:紫外線が皮膚の発癌にも関係してると聞きましたが?

そうです。ことにB紫外線がこの発癌を促進させるといわれています。
マウスを使った実験で、真夏の1分間に相当するB紫外線を週5日あてると、
38週後に皮膚癌を生じたという報告があります。シミが、ますます黒くな
ったり、厚く隆起してきたり、急に大きくなってきたら、皮膚科にいって
検査してもらった方が良いでしょう。こうした皮膚癌では、自覚症状は全くと
いってないのが普通です。色の白い人ほど、あるいは日光にあたると黒く焼け
るより赤くなりやすい人ほど要注意です。

Q:それでは紫外線から肌を守るにはどうしたら良いでしょう?

最も簡単な方法は、外へ出る時や屋外でのスポーツの際に、例えばゲートボー
ルなどをする時には、帽子をかぶり長袖のシャツを着るようにすることです。
日傘も良いでしょう。それだけでも紫外線の透過率は1/5以下になるといわ
れています。また、紫外線は目にも作用し、白内障の原因にもなりますので、
サングラスの着用も薦めます。なお、紫外線は、意外なようですが、夏よりも
春(5・6月)の方が強いことを忘れないで下さい。
1日あたりでは、午前10時から2時までの4時間がピークになります。
もっとしっかり紫外線を予防するためには、サンクリーン剤(日焼け止めク
リーム)を日光のあたる部分に塗ると効果的です。そうした製品には、最近S
PF(日光を防御する指数)という表示があります。およそ15程度以上のも
のを目安に、数時間ごとに塗りかえると良いでしょう。最近は、完成度の高い
良い製品が沢山作られています。早めに紫外線を防御することで、皮膚の老化
や発癌を予防出来ます。また最近の研究では、出来てしまったシミなどもかな
り修復されることが分かってきました。たかが日光などとゆめゆめ思ってはい
けません。