切手蒐集家ではないが、きれいな切手は見ているだけでも楽しく
大好きである。郵便局へ行ったとき、記念切手があるとついつい買ってしまう。
最近は世界遺産の切手シリーズが発売されなかなか豪華である。若い頃は
ストックブックにしまい込んでおいて時々眺めていたが、数年前から自分一人で
楽しんでいてはもったいないので、絵はがきや封書に使うことにした。季節感
溢れるもの、自分の気に入ったデザインあるいは受け取った方が喜びそうな
図柄など言外のメッセージを伝えるためにあれこれ選ぶのも楽しみの一つである。
学生時代から手紙はよく書く方だったが当時は記念切手の発売回数も少なく、
お年玉つき年賀はがきの賞品切手は貴重品だった。外国の友達にはなるべく日本調の
切手を額面が合うように沢山組み合わせて送るととても喜ばれた。
『今とても落ち込んでいるの』という手紙の返事に【上を向いて歩こう】
とか【鉄腕アトム】の切手が最適と思って使っているが手持ちが少なくなってきたので
それに代わる切手の発売が待ち望まれる。切手のデザインによる意志表示は思っているより
インパクトが強いようで受け取った相手からそれなりの手ごたえが感じられる。
以前は記念切手の発行は部数も回数も少なくものによっては蒐集家の間では
かなりの高値のものもあると聞く。だが、最近では何かにつけて発行されるようになった。
変わり型あり、2枚合わせて一つの絵柄になるもの、シリーズものがあったりで、
切手本来の実用的価値よりむしろ蒐集家のための愛蔵用としか思えないようなものが
多くなった。従って、私にとっては使い勝手が悪くなったとしか言いようがない。
最近は繪入りはがきも発売されるようになった。【鉄腕アトム】や【ドラえもん】
【銀河鉄道999】、【ルパン三世】などのアニメシリーズや【北海道の牧畜風景のシリーズ】
など楽しいものが沢山ある。切手同様愛用中だ。
ところが、近頃私の切手箱には全然手をつけていない切手が増えてきた。
郵便局へ行く度に気に入った切手をついつい買ってしまうのだが使う機会がめっきり減った
からだ。理由は、家庭にFAXが入り、次にインターネット通信(Eメール)が導入された
結果である。確かに、手紙を書いて、表書きをした封筒に入れて、切手を貼って、
ポストに投函する手間を考えれば、手紙よりFAXが、さらにEメールの方が遥かに
手間も時間もかからない。だからついつい手紙を書くことが少なくなってしまった。
Eメールは本当に簡単、便利。でも、何か味気ない。言葉で伝える以外の気持ちを切手に
託していたがEメールではどのように表すかが私の宿題になってしまった。