「ゴルデイオン」という地名が、私の遠い記憶の中で鐘を鳴らした。そうだ、私が中学の頃、イソップ寓話(ギリシャ神話にもある)の中の『王様の耳はロバの耳』という劇をやった。この王様というのが、何でも触ると黄金に代わってしまうと言う「ミダス王」だ。この劇の中で『♪ ミダスの耳はロバのおミミ ♪』と囃す場面があったのだ。そう言えば ミダス王はゴルデイオンの王様だったのだ。
ミダス王は、BC8世紀頃のフリギア国(後のゴルデイオン)の2代目の王だと言われている。初代は神託によって王になった貧しい農夫ゴルデイオスで、彼は王に迎えられた感謝の印として、自分が乗っていた牛車を神殿に捧げた。奉納するとき、樹皮で作った縄で特殊な結び方をして牛車を神殿に繋ぎとめ、「この結び目を解いた者はアジアを支配する」と預言した。
多くの者が試みたが解くことができないまま時が経過した。BC333年にゴルデイオンへ立ち寄ったアレクサンドロス大王はこの話を聞くと、一刀のもとに結び目を断ち切ったとされている。手荒い方法ながら、結び目を解いたことになる。
アレクサンドロス大王の足跡を見ると、確かに彼とその軍隊はエジプトをものにし、アナトリア半島を征服してインドまで行っている。征服した各地にアレクサンドリアという都市名を残し、当時は60くらいあったらしい。大王の行動から、ゴルデイオスの予言がある程度実現されたと言えるのかも知れない。
このミダス王の記憶からにわかに思い付いた。夢のような話だが、エフェソス考古学博物館で撮ったこの【写真2】は、『ゴルデ
イオスの結び目』を模したものかも知れない、と。
ああ、タイトルなり、説明をきちんと撮っておくのだった。
写真2:エフェソスの考古学博物館の展示物の中でパズル状のもの。
迷路のようなビックリ画の「ようなもの。モダンでパズルのようで、とても興味を惹かれた。
何かを模して粘土で作ったかのように見えた。 40×50センチくらいの大きさ。
古代マケドニアの王だった父従って、BC336年アナトリア半島(現在のトルコの一部)を征服すべく出陣し、大勝利をおさめた。父王亡き後も軍隊を率いてアジアを征服しようと東へ東へと快進撃を重ねた。僅か33歳で亡くなっているが、もっと長生きしていたら、アジアの歴史はどうなっていただろうか。